2016
CORPORATE IDENTITY / Art Direction
STORY & CONCEPT
佐俣アンリ氏が主催する, ベンチャー・キャピタル・ファンド「ANRI」
私は CI / ロゴデザインの初期段階において, リサーチを重視しています。CI (コーポレート・アイデンティティ) は, 継続企業の前提に基づく「普遍性」と, 時代の変化に対応する「時代性」を兼ね備えていることが重要です。加えて, この二者間のバランスを決定づける「特殊性」を探るためには, 入念なリサーチが不可欠になります。
この考えに則り, 約200社におよぶ世界中のファンドの CI について調査を行ったところ, VC の世界には世間一般的に連想が容易なモチーフや象徴が少なく, 保守的でクリーン (けれどクールではない) なロゴが多いと感じました。これまではリサーチの段階で制作方針が見えてくることが多かったのですが, 本件はリサーチで掴むものがあまりなく, とても窮したことを覚えています。
行き詰った私は, 気分転換とインプットを兼ねて, 産業の歴史について調べることにしました。この業界でよく耳にする「イノベーション」という言葉の変遷を辿ってみたかったのです。すると, 調べていくうちに, 興味深いことに気づきました。産業革命以降, 私たちの生活に新しい価値をもたらした「イノベーション」は, 21世紀以前とそれ以降では, 大きな違いがあるということです。
電解精錬や電池, 液晶, 記録媒体, インターネットなど, 発明と発展はそれ自体がイノベーティブでありながら, 新しい時代にはそれらが絡み合うことで, 新たなイノベーションが発生しています。たとえば, 今や私たちの生活に欠かせないスマートフォンは, 単一分野におけるイノベーションではなく, さまざまな分野でのイノベーションが複合した結果だと言えます。
そこで ANRI の新しい CI では,「circulation / 循環」というコンセプトのもと, 脈々と受け継がれる人智が, イノベーションを引き起こし, それらが絡み合い, 重なり合いながら, 次世代の新たなイノベーションへと繋がっていくさまを表現しました。
CLIENT : ANRI
DIRECTOR : RYO MIYAKAWA
ART DIRECTOR : TAKAYA OHTA
VI
2018
BI
2018
CI
2017
BI
2017
BI
2016
CI
2016
BI
2016
VI
2016
VI
2015
BI
2015
VI
2014
CI
2014
CI
2014
CI
2014
CI
2014
VI
2014
VI
2013
CI
2012
A DESIGNER / Art Director
focused
on CI & BI DESIGN
タカヤ・オオタ
沖縄県沖縄市生まれ。立教大学経営学部卒業。ストーリー&コンセプトを重視し, CIを起点としたデザインを得意とする。ロゴはそれ自体がアイデンティティを有するのみならず, 周辺のクリエーティブと合わさることで総体として成り立つことを念頭に置いて設計を行う。